スポーツ復帰のしかた

ケガや故障によりしばらく競技を休止していた人の次の課題として競技復帰があります。
また新型コロナウイルスによる外出自粛が終わると、今まで休んでいたスポーツや部活が再開されると思います。

しかし競技休止による体力低下は避けられません。
何も考えずに休止前と同じメニューをいきなり始めたり、まずは馴らしからといいながら楽しいゲーム形式の練習から始めるとケガの危険があります。

しっかりと1日ずつ段階に分けて復帰メニューを作りましょう。

注意

フェーズ0:休止中の過ごし方

復帰のためのバージョンアップ

休止中にどう過ごしたかはスポーツ復帰に大きくかかわります。
休止中の考え方は「スポーツ障害での安静」をご覧ください。

休止中にやるべきことは競技特有のスキルではなく、体そのものの機能を高める運動のこと。
いままでおろそかにしていた、可動域・柔軟性・体幹などのパフォーマンスを高めます。
「コンディショニング」と呼ばれるものです。

  • 体幹トレーニング
  • ストレッチ
  • 関節エクササイズ
  • フォームチェック など

これにより復帰がより早く、さらに休止前より動きがいいなんてこともあります。

フェーズ1:慣らし運転

負荷の軽い運動で休眠状態から復帰。

まずは「体を動かす」ことに重きを置いて行いましょう。
急に複雑な運動や、強度の高い運動を行ってはケガや事故の原因となります。
競技とは関係のない基本動作(コーディネーション)や競技特有の基本動作(素振り・キャッチボール)をして体を慣らしましょう。

  • ジョギング
  • 素振り
  • キャッチボール・パス・ストローク
  • コーディネーショントレーニング

フェーズ2:動作確認 低強度

競技特有の低強度の動作確認

あくまでリラックスしてできるレベルの動作です。
フォームが崩れてしまっていないか、動作中・動作後・翌日に痛みがないかを確認してください。
これがクリアできれば強度を上げていきます。

  • ランニング
  • 遠投・ロングパス
  • バッティング
  • シュート練習(バスケ)

フェーズ3:動作確認 高強度

競技特有の高強度の動作確認

少し力むレベルの動作です。
低強度と同様、フォーム・痛みの出現を確認してください。

  • ダッシュ
  • ピッチング
  • サーブ・アタック
  • シュート(サッカー)

フェーズ4:グループ練習

対人プレーの感覚チェック・動作イメージと体の整合性を確認

動作を単純なものから複雑なものへと変え、チームでの連携や、思い通りに体が使えているかの確認です。
足がもつれたり、思わぬ接触が起こったりしないよう、少しづつ複雑な動作にしていきましょう。

  • 複数人でのボール回し
  • 切り返し・ジャンプ・ダッシュを組み合わせた動作練習
  • 「軽め」のゲーム形式

フェーズ5:ゲーム形式

臨機応変な判断・動作の確認

ここでやっとゲームができます。
ゲーム形式はそのシーンによって様々な動作を複合して行います。
しかもそれをその都度判断し、継続して行わなければならないので、持久力・集中力が切れてくるとミスが出始めます。
しっかりとパフォーマンスが維持できる人数・時間・負荷で行いましょう。

きちんと考えること、感じることが大切!!

1日ですべてのフェーズを確認することは不可能ですし、やってはいけません!
焦らずにフェーズごとに1日~3日、長くて1~2週間かけてもいいです、確実に確認してから次に進むようにしましょう。
また競技も練習メニューも人それぞれ。
フェーズに分けてはいますが、これはグラデーションのように明確な境界はありません。
強度や負荷や時間で変わってしまうので、自分自身で判断するしかありませんが、ちょっと物足りないなと感じる程度で切り上げましょう。

判断するために「適切な運動量、フェーズ分けやメニューを考える事」と「体の状態や反応、感覚を感じ取る事」が必要なのですが、この2つに「ズレ」が起きていることが危険なのです。
ズレが起きているからこそ、今の運動強度に体がついてこれていないことに気づかないわけで「大丈夫だろう思ったけど、体がついてこなかった」ということが起こるのです。
自分の体とよく相談することが大切です。こちらもご参考ください。

欲をかいて失敗し、次の日からまた休むことにならないよう、堅実に明日へつなげ、徐々に体力・感覚を取り戻していきましょう。