柔道整復療養費制度の改正について(令和8年7月)

令和8年7月より、柔道整復療養費制度のルールが一部見直されました。

今回の改正で患者様に関係する主な変更

  • 初検料の取扱い変更
  • 再検料の算定方法変更
  • 多部位施術の算定方法変更
  • 長期間・多部位受療の規制強化
  • 領収書・明細書の交付ルール変更

今回の改正は、柔道整復療養費制度の適正な運用を目的として行われたものです。

柔道整復師による保険施術は、本来、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの怪我に対して適用される制度です。
しかし一部では、慢性症状の施術や長期間の継続通院など、本来保険適用されないものに対して不適切な保険請求が問題視されてきました。

そのため制度全体のルールが見直されましたが、その影響は適正に保険施術を受けている患者様にも及びます。
当院では、制度を遵守しながら、患者様に必要な施術を適切に提供してまいります。 

【初検料の取扱い変更】

■変更内容

施術終了または中止後、新たな負傷であっても
1ヶ月以内→継続扱い
3ヶ月以内→再検料から開始
4ヶ月以降→初検料から開始

■問題とされている不正請求

長期間通院している方を一旦「施術終了」とし、別の負傷として初検料を算定する「架空初検」が問題視されてきました。

これは、本来終了すべき保険施術を「新しいケガ」とすることで、

  • 患者は、保険適用外の慢性症状でも保険負担で安く長期間通院できる
  • 接骨院は、初検料を含めた保険請求を繰り返すことができる

そのため、今回の制度改正では初検料の取扱いが見直されました。

■当院の対応

スポーツなどで通院終了後に新たな怪我を負い、3か月以内に受診されるケースは実際にあります。

当院では、たとえ制度上は初検料を算定できなくても、通常の初検と同様に負傷原因や症状を確認し、必要な評価・説明を行います。

【再検料の取扱い変更】

■変更内容

「2回目算定」→「2回目・3回目算定」

初検料を算定できないケースでも、症状の再評価を適切に評価できるよう見直しが行われました。

■当院の対応

当院では以前から、初回だけでなく施術経過に応じて状態の再評価や施術方針の確認をしているため、施術内容や対応に変更はありません。

制度上認められた算定については適切に算定させていただきます。

【多部位施術の算定方法変更】

■変更内容

1部位の保険算定額(後療料・電療料・温罨法料)
613円→676円

さらに、今回から2部位目・3部位目は段階的に減額。

変更後の保険算定額
1部位目 676円    
2部位目 541円(80%)
3部位目 406円(60%)

■問題とされている不正請求

必要のない部位を追加して請求額を増やす「部位増し請求」や、請求部位を次々と変更して保険施術を長期間継続する「部位ころがし」も問題となっていました。
そのため今回の改正では、複数部位を請求した場合でも、保険算定額が大きく増えない仕組みへ変更されました。

■当院の対応

本来、施術部位は患者様の症状によって決まるべきものです。
当院では、実際の負傷状況に基づいて施術部位を判断し、必要であれば3部位であっても適正に請求いたします。

【長期間・多部位の受療に対する規制強化】

■変更内容

令和9年1月より、12か月のうち8か月以上かつ計9部位以上の保険施術を受けた場合は、保険者の重点確認の対象となり、償還払いとなる可能性があります。

■償還払いとは

①一度10割支払う
② 保険者へ申請
③ 保険適用分が払い戻される
※支給が認められない場合は払い戻されないことがあります。
つまり、この規制に該当した場合は、実質的に保険施術を受けにくくなる可能性があります。

■問題とされている不正請求

先に説明した通り、長期間にわたり保険施術を継続するため、「架空初検」や「部位ころがし」などを繰り返すケースが問題となっていました。
そのため、長期間・多部位の受療は保険者による重点確認の対象となりました。

■当院の対応

スポーツで新たな怪我を繰り返した場合や、複数の部位を負傷した場合でも、12か月で見ればこの基準に該当する可能性があります。

当院では、患者様が将来的に制度上の不利益を受けないよう、保険施術の対象となる部位をこれまで以上に慎重に判断します。
症状の軽い部位や経過観察で対応可能な部位については、保険施術の対象としない場合があります。

これは施術を行わないという意味ではなく、制度上の不利益を避けるための判断です。
ご理解いただけますと幸いです。

【領収書・明細書の交付義務の強化】

■変更内容

領収書・明細書の無償交付が義務化。
明細書への請求内容(負傷名・部位数など)の記載が義務化。
月ごとのまとめ交付には、患者様の署名が必要。

■問題とされている不正請求

患者様へ請求内容が十分に示されないまま保険請求が行われると、不適切な請求があっても患者様自身が気付きにくくなります。
そのため、患者様が請求内容を確認できるよう、領収書・明細書の交付ルールが明確化されました。

■当院の対応

当院ではこれまでも、領収書は患者様のご希望に応じて毎回または月ごとにまとめて無償で交付してきました。
また、毎月、負傷名や施術部位を記載した請求内容の控えを作成し、お渡ししています。

しかし今回の改正では、

  • 本来であれば当然の「領収書の無償交付」が制度上明文化されたこと
  • 月ごとにまとめて受け取る場合には、患者様の署名が必要となったこと

など、新たな事務手続きが追加されました。

制度の適正化のために必要な見直しであることは理解していますが、これまで適正に運営してきた当院では、この手続きのためだけに患者様へ署名をお願いすることは、患者様に余計な手間や混乱を招くと判断しました。
患者様にはご不便をおかけいたしますが、今後は領収書・明細書を一般的なお店と同様に、原則として毎回お渡しすることとさせていただきます。

最後に

これまで何度も、接骨院による不適切な保険請求が社会問題となり、そのたびに制度改正や規制強化が繰り返されてきました。
当院では開院以来、保険制度のルールを守り、適正な施術・適正な請求を徹底してきたため、これまでの制度改正による影響はほとんどありませんでした。

しかし、不正請求を行う接骨院が後を絶たないことから、行政は一部を取り締まるのではなく、適正に運営している接骨院も含め、すべての施術所を対象とした規制へと変わってきています。
その結果、今回の改正では、正当に保険施術を受けている患者様にも影響が及ぶ内容が含まれました。

保険施術を受ける際は、次のような点をご確認ください

  • 鍼灸治療・整体・エステ・もみほぐしが中心
  • 慢性的な肩こりや腰痛に保険を使用している
  • 保険で何年も通院している
  • 負傷名や請求部位の説明を受けていない
  • 領収書が発行されない、または有償

このような状況がある場合は、不適切な保険請求に巻き込まれている可能性があります。
一度、ご自身の保険請求内容を確認されることをおすすめします。

当院では、これからも制度を守りながら、本当に保険施術が必要な患者様が安心して施術を受けられる環境を守ることを大切にしています。

保険制度は、一部の施術所のものではなく、本当に怪我をされた患者様のためにある制度です。

当院はこれからも、制度の趣旨を守り、本当に保険施術を必要とする患者様のために、適正な施術・適正な請求を続けてまいります。