「動かす」と「使う」は違う

どこかを痛めた時は安静にすることから始まり、徐々にリハビリが始まります。
患部を少しずつ動かせるようになると、日常生活・仕事・スポーツへの復帰を考え始めます。
この段階で通っている病院や接骨院で「リハビリは自分でやってね」「もう動けるなら大丈夫」と言われ、そのままジャンジャン使っていいと勘違いしてしまう人がいます。
その時、当院で必ずお伝えしていることがあります。

治ったわけじゃないですよ??

いくら運動復帰を始めたとしても完治したわけではありません。
リハビリが終わるまでが治療です。

安静にしている間に、

  • 落ちた筋力
  • 低下した柔軟性
  • 鈍くなった動きの感覚

をそのままに、痛める前と同じ負荷をかけられるわけがありません。

だからリハビリでは、患部を少しずつ「動かし」、負荷を段階的に上げながら、痛める前と同じように「使える」状態を目指していきます。

ここで大切なのが、「動かす」と「使う」は明確に違うということです。

「動かす」とは

今の状態を把握した上で許容範囲を超えないようにコントロールしながら患部を動かすことです。

  • 単純な関節運動やストレッチ
  • スポーツでの基本動作
  • ウォーキング

これらは、あくまで「動かすこと」が目的。

どの程度なら大丈夫なのか。
限界はどこなのか。

患部の状態を意識しながら、「動かす」ことを意識して行います。

こうして徐々にできる範囲を増やしながら全開を目指していきます。

正拳突き
考えて動く

「使う」とは

患部の状態とは関係なく、何か別の目的を達成するために体を「使って」いる状態です。

  • 労働作業
  • スポーツでのゲーム練習
  • 散歩・旅行

この場合、患部のことなどそっちのけで、意識は目的に向き、気づかないうちに患部への注意が薄れていきます。

気がついた時には許容範囲を超えた負荷がかかり、結果として患部にストレスを与え続けることになります。

パンチ
何も考えず使う

ウォーキングと散歩

「ウォーキング」はフォーム、歩幅を意識し、速度・距離・時間を調整しながら、患部の状態を「意識して行う」ことで、動かすことを目的としたリハビリになります。
一方で「散歩」は景色を見ることや、目的地に到着する事が目的となり、患部はそれに「無理矢理付き合わされている」状態になります。

途中で「今の状態は大丈夫か?」と確認できるなら“動かしている”、気づいたら頑張りすぎているなら“使ってしまっている”可能性があります。

スポーツ

「ランニング動作、投球動作」は、どの程度できるかを慎重に確認しながら行い、限界が来たらすぐにやめられることが重要です。
一方で、「ゲーム練習や部活」に最後まで参加することが目的になってしまうと患部はただ無理をさせられるだけになります。

“やめようと思えばすぐやめられるか”が、動かしているか使っているかの一つの目安になります。

スポーツ復帰では「どこまで出来たら次に進むのか」という判断基準が重要になります。
詳しくは「スポーツ復帰のしかた」をご覧ください。

「使っていい」状態とは?

では、いつから思い切り「使っていい」のか。

目安になるのは、

    • 動かしても痛みや違和感が残らない
    • 翌日に症状がぶり返さない
    • 動きの中で患部を気にしなくなる

    この状態になって初めて、「動かす」段階から安心して「使える」段階へ近づいたと言えます。

    焦って一気に戻すのではなく、自然に気にせず動ける状態になることが回復のゴールです。 

    当院が考える回復の基準についてはこちらで解説しています。
    てつ接骨院的「治った」基準

    動かすのはリハビリ、使うのは労働

    あくまで、リハビリの一環として「動かして」いることを忘れてはいけません。
    それを続けていれば、おのずと患部は改善し、やがて何も気にせず「使える」ようになります。

    もちろん思う存分「使った」後は、その体を労わる意味でのケアをしてあげましょう。
    それが再発予防になります。

    更新履歴:21.6.15/23.8.7