有痛性外脛骨
外脛骨とは、足の舟状骨(しゅうじょうこつ)の内側に存在する、先天的な過剰骨(余分な骨)です。
おおよそ10~15%の人にみられるとされ、多くは痛みもなく無症状です。
スポーツや長時間の立ち仕事、成長期の急激な体の変化により、この部分が炎症を起こし、痛みを感じるようになります。
放置して悪化すると、歩行や運動に支障をきたすため、早期の理解と対処が重要です。

好発環境
- 小中高生の成長期に多く見られる
- サッカー、バスケ、陸上、バレ-など
- 反り腰傾向
- 扁平足 足首の崩れ
- サイズ、形の合わない靴
症状
- 内くるぶしの下(舟状骨内側部)の腫れや圧痛
- 長時間歩行、運動後の痛み
- 靴が当たって痛い
- くるぶし下のでっぱり

放置すると歩くことも辛くなり競技継続が難しくなります。
また姿勢が悪くなったり、パフォーマンス低下につながります。
ひどくなると舟状骨の疲労骨折や後脛骨筋腱の炎症などを引き起こすため早期治療が大切です。
早期治療や運動量の調整を怠り、長期間痛みがある状態を続けていると、患部ぼででっぱりが大きくなり、より痛みの出やすい足になります。
痛みの出方に注意
症状の症状の程度によって痛みの出方に違いがあります。
またそれによって運動量を抑えるのか、休止する必要性があるかの判断が変わります。
適切な判断を誤ると、競技の長期休止につながる恐れもあります。
詳しくは「スポーツ障害の重症度と競技休止の目安」をご覧ください。
原因
痛みの原因
外脛骨は、足の内側に位置する「舟状骨(しゅうじょうこつ)」の内側にあります。
ここには本来舟状骨に付くはずの後脛骨筋腱がつき、外脛骨があることで腱にかかる牽引ストレスが集中しやすくなります。
そこに歩行・ランニング・ジャンプ等で、繰り返しストレスを加えることで発症します。

ストレスの原因
- 筋肉の柔軟性の低下
- 足のアーチの低下
- 過度な運動量、練習頻度
- 筋力不足
- 運動後のケア不足
- 悪いフォームでの運動
最近の子供たちは全体的に柔軟性が低い傾向があり、ふくらはぎやもも裏の硬さが強く影響します。
また、普段の姿勢の悪さも目立ちます。
さらに足のアーチの低下(扁平足)も重なると、足部が内側に倒れ込む「回内」が起こります。
これにより後脛骨筋の牽引力が増し、外脛骨部に繰り返しストレスが加わります。
これが炎症や微小損傷の原因になります。
成長期であっても予防的なケアと使い方の見直しで多くは防げます。
詳しくはスポーツ障害の原因をご覧ください。
治療法
炎症を落ち着かせるには、スポーツ障害治療の基本である「安静」が不可欠です。
ここでの安静とは単に休むだけでなく、運動量を調整しながら患部への負担を減らすことも含まれます。
加えて、微弱電流療法やテーピングを用い、損傷部位の早期回復を促し、完全な運動復帰を目指します。
さらに、外脛骨ににかかる負担を軽減するため、後脛骨筋の柔軟性を高めることが重要です。
柔軟性の低下は炎症が治まった後も再発の原因となりますので、適切なストレッチを行います。
また、足の使い方に問題がある場合は、正しいランニングフォームの指導や歩行分析を行い、必要に応じてインソールの導入も検討します。
これにより再発防止とパフォーマンス向上を図ります。
詳しくは「有痛性外脛骨 治療編」をご覧ください。